2024.12.15

『大阪ラプソディVol.63 大師走・西’24』

日時
12月15日 日曜日
観衆
247人
場所
◎入場式
 オープニングは、出場全選手がリングに勢ぞろいしての入場式。対戦カード発表後のあいさつに指名されたのは、メインでトーナメント決勝を戦う孤伯。
「皆さん、こんばんは! WAVE大阪大会、年内最終戦、本日、自分はNEXT(トーナメント)決勝戦です。上谷(沙弥)が持つRegina、取り返すことを今日は考えるのをやめて、渡辺智子を倒しにいきたいと思います。…………言いたいこと、全部忘れた(苦笑)。今日、皆さん全5試合、熱い応援よろしくお願いします」
▼OSAKA・ヤングパワーwave(10分1本勝負)
△グリズリー藤滝(時間切れ引き分け)香藤満月△


 第1試合は大型ヤングパワー同士の激突。ともにキャリアまだ2年目だけに粗削りな部分は否めないが、小細工なしでの正面からのぶつかり合いは迫力満点。組み合っても互いに動かず、タックルの打ち合いも互角。先に香藤満月がダウンを奪えば、すぐさまグリズリー藤滝もダウンを奪い返す。
まずは香藤がボディースラムからボディープレス、逆片エビで試合のペースをつかむ。辛うじて藤滝がロープに逃れると、スタンドに戻ってエルボーの打ち合い。互いに1発打ち込むごとに、「ドスン!」と鈍い音が響く。
ショルダータックルで香藤をダウンさせた藤滝は、その場跳びのボディープレスからキャメルクラッチ。体勢が崩れると、香藤の腕をロックしてギブアップを迫った。さらにブレイクに持ち込もうとサードロープに伸ばそうとした足もロックして、ボウバックブリーカーへ移行する。香藤はエプロンに足を突き出して、なんとかブレイクに持ち込んだ。
ボディースラムで叩きつけられながらも、香藤はエルボーを叩き込むとショルダータックルで藤滝をダウンさせ、その場跳びでのボディープレス2連発からランニング式のボディープレスで追い込み、コーナー2段目からのフライング・ソーセージ。しかしカウント3は奪えない。
ロープから走ってくる香藤のボディーにカウンターの正拳突きを叩き込んだ藤滝は、ラリアットを見舞い、片ヒザを着いた状態の香藤の側頭部に右回し蹴りをヒットさせた。しかし香藤はカウント2で肩を上げていく。
ならばと香藤を肩に担いだ藤滝はサモアンドロップを決める。そしてカバーしたところで10分タイムアップのゴングが鳴らされた。
試合後、握手を求めてきた香藤に対し、藤滝は「握手なんかするかよ!」とその右手を叩いてリングを下りた。
▼OSAKA・スクランブルwave(30分1本勝負)
○尾崎妹加、本間多恵、清水ひかり(14分38秒、片エビ固め)ラム会長、青木いつ希、花園桃花●
※ラリアット

 タッグ王者チーム(尾崎妹加&本間多恵)に清水ひかりが加わってのトリオ。あとから入場してくると、尾崎が本間を右肩に、清水を左肩に乗せてポーズを取った。それに対抗すべく、青木いつ希もラム会長と花園桃花を両肩に乗せようとしたが持ち上げられなかった。ただこれはからくりがあり、尾崎はセカンドロープに乗っている2人を肩に乗せたが、青木は下から持ち上げようとしていただけにハンディがあった。
清水と青木の顔合わせで試合開始。スピードあふれる流れから清水がフロントキックを決めて尾崎にタッチ。尾崎と青木は正面からショルダータックルで何度もぶつかり合い、ダウンを奪った青木がラム会長にタッチ。ラム会長はボディーアタックを仕掛けたものの尾崎に受け止められ、ショルダータックルでダウンさせられた。
ここでラム会長が、タッグを組んでいたこと、食事をおごっていることを材料に、「もっと優しく」と泣き落としにかかった。直後に放ったショルダータックルは当たりが弱かったが、エルボードロップは通常のもの。青木、花園から「ヒザを着いてから」とクレームを飛ぶと、その言葉通り片ヒザを着いてからヒジを落としていった。さらにボディープレスも、ゆっくりとマットに置く形で放っていった。
しかしタッチを受けた本間は手加減なし。腰を落としたラム会長の正面からドロップキックを叩き込み、ワキ固めで締め上げていく。逃れたラム会長は中指を突き立てて本間を挑発するも、コーナーを利用してのぶら下がり式逆十字、ワキ固めに捕らえられてしまった。なぜかこれを尾崎がカット。戸惑いの表情を見せた尾崎だが、その後は本間との連係でラム会長を攻め込んでいく。
ラム会長は1対2の展開になりながらも、同士打ちを誘うなど本間と尾崎をほんろう。タッチを受けた青木は、本間に低空ブレーンバスターを決め、ダブルニードロップをボディーに突き刺していった。しかし本間も、青木の腕をキャッチして馬乗りアームロックで締め上げる。これは花園にカットされ、青木のバックフリップを浴びた。それでも尾崎のアシストでペースは渡さない。
 代わった清水は青木にヒップドロップ、コルバタを決め、尾崎のラリアット、本間の低空ドロップキックにつないで稲妻レッグラリアットを決める。青木はラリアットを返したところで花園にタッチ。
やっと出番が回ってきたと勢い込んでリングインした花園だが、ミサイルキックをかわされると、尾崎にスイングDDTを狙ったが、そのままブレーンバスターでマットに叩きつけられた。さらに清水にもブレーンバスターを決められ、尾崎にはセントーンからアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げられた。
 背後に滑り下りる形でスリーパーに切り返した花園だが、そのまあ正面に叩きつけられてしまう。2度目のアルゼンチンバックブリーカーはラム会長、青木のカットで命拾い。ここで騎馬を組んでの攻撃を狙ったラム会長組だったが、青木を乗せることができず自爆。それでもスイングDDTを狙ったが、今度は滞空時間の長いブレーンバスターに切り返されそうとしたが、青木がカットして成功せず。
ラム会長のコードブレイカー、青木のSTOを浴びてダウンした尾崎に、青木が花園とラム会長を背負ってのボディープレスを見舞っていった。ここは本間が飛び込んできてカウント3は数えられず。
 ここで花園はクラッカーを取り出して、起き上がってきた尾崎に見舞っていったものの、尾崎はひるむことなくラリアットを叩き込んでカウント3を奪った。
▼OSAKA・ゴキゲンwave(15分1本勝負)
○米山香織(10分27秒、後方回転エビ固め)炎華●


 POP王者になって2度目の大阪登場となった炎華。12・18新木場でChiChiの挑戦を受ける最終調整的な意味合いもあるシングルマッチ。
握手を交わして試合開始のゴング。両選手へのコールが交錯するが、「炎華」コールの方が多い。機嫌を損ねた米山香織はリングを下りてゲートの方へ向かう。炎華が促す形で「米山」コールが大きくなり、気を取り直してリングに戻った。そこに炎華が攻撃を仕掛けていく。
スピードに乗った動きで米山をほんろうするも、米山はドロップキックをかわしてからのカバーをカウント2で交わされたところで、炎華の動きを止める狙いから握手を求める。炎華がそれに応じたところに攻撃を仕掛けていった米山だったが、動きを読んでいた炎華は米山の蹴り足をキャッチしてヒザにエルボーを落とすと、米山はマットに倒れ込んだ。
米山の負傷欠場の原因だったヒザへの攻撃とあって炎華にブーイングが飛ぶ。心配そうに近づいてきた炎華を丸め込んだ米山だが、カウント2で返された。炎華をコーナーに追い込み、踏みつけていく米山。炎華は米山のリストをつかむと、コーナーに駆け上がりホイップしてリング下まで吹っ飛ばしていった。
場外でリングサイドの観客が持っていたタオルを利用しての攻撃をやり合った後、リングに戻ったところで炎華がボディーシザースを決めて米山の動きを止めにかかる。そこから反転してフォールに持ち込んだ炎華だが、米山はカウント2でクリアしていった。
 コーナーへの側転エルボーをかわした米山は、モンゴリアンチョップ連発からグルグルパンチを4発放つも、いずれも炎華にあっさりとかわされてしまう。ならばと両拳でのパンチを狙ったが炎華に受け止められ、ドロップキックを浴びた。
串刺し側転エルボー、ドロップキックを決めた炎華はSTFでギブアップを迫るも、米山にロープブレイクに持ち込まれてしまう。その後、丸め込みの応酬に。後方回転エビ固めからブリッジしてのフォールを狙った炎華だったが、米山がそれを切り返して全体重を浴びせかけるとカウント3が数えられた。
ベテランの巧みさをずる賢さに敗れてしまった炎華だったが、一歩もも引かず。むしろ若さあふれる躍動感と相手の動きを読んだ試合運びで成長を見せつけた。
▼OSAKA・スクランブルwave(20分1本勝負)
宮崎有妃、○櫻井裕子(17分35秒、変形前方回転エビ固め)桜花由美、YuuRI●

 宮崎有妃と櫻井裕子にとって、12・18新木場で挑戦するタッグ王者チーム(尾崎妹加&本間多恵)がアリーナ後方で視察する中で行われたタッグマッチ。
試合は櫻井と桜花由美の“桜対決”でスタート。手四つでの力比べで先手を取った桜花が髪をつかんでの投げ、ワキ固め、YuuRIとのダブルタックル、ダブルエルボードロップで攻め立てる。防戦を強いられながらも櫻井はコブラツイストを桜花に決めるが、串刺しビッグブーツの反撃を浴びる。それでもトラースキックからフロントハイキックの打ち合いに持ち込んだ。
YuuRIのショットガン式ドロップキックを浴びながらもカウンターのボディースラムを返した櫻井は、ようやく宮崎にタッチ。一気にペースを引き戻したい宮崎は、YuuRIにビッグヒップからの恥ずかし固めで精神的に揺さぶりをかけていく。桜花のカットで恥ずかしめから脱出したYuuRiは、宮崎の背中にサッカーボールキックを叩き込む。しかしブーメランアタックは両腕でガードされてクリーンヒットとならず。ロープに貼り付けにされてのラリアットを浴びる。それでも桜花のビッグブーツ、スタンガンでアシストを受け、ブーメランアタックを決めていった。
正式にタッチを受けた桜花が、走り込んでのビッグブーツ、DDTと攻め立てたところで、櫻井がリングに飛び込んできて桜花にビッグブーツを見舞っていく。しかし桜花のビッグブーツ、カカト落としを浴びてしまった。
桜花に雪崩式ブレーンバスターを決めた宮崎だったが、続いて放ったムーンサルトプレスはかわされて自爆。それでも桜花のビッグブーツには、ラリアットで応戦していった。
 桜花がネックハンギング・ボムを決めたところで、リング内は櫻井vsYuuRIの展開に。激しいエルボーの打ち合いを繰り広げるなか、櫻井がスタンドでのドラゴンスリーパーに捕らえた。
そのまま体を浴びせてYuuRIの後頭部をマットに打ちつける。YuuRIのトラースキック、ブーメランアタック、ミサイルキックを浴びても引くことなく、スワントーンボムをかわして、宮崎の1人マジックキラーのアシストから裕子ロケットを成功させるも、背後からドロップキックを受けた形の櫻井のダメージは大きい。
 YuuRIに羽交い絞めにされた櫻井だったが、桜花のビッグブーツをかわして同士打ちさせると、YuuRIの両腕をつかんでクロスさせて引き寄せる。そのまま相手を飛び越えての回転エビ固め。これがタイミングよく決まりカウント3を奪った。
挑戦が決まってからWAVEでは敗戦が続いていた櫻井にすれば、ようやくもぎ取った勝利。マイクをつかんだ宮崎はまず「今日、裕子ロケット、成功したぞ!」と喜びの絶叫。そして、「まあ、勝ったのは櫻井裕子だけど、私がちゃんとしゃべらしてもらうけど」と続け、アリーナ後方で視察していた王者チームに向かって「オイ、SPICEAP、18日はチャンピオンシップって、わかって来てるよね? あんなふざけた試合して。今日の試合見たな。18日は私たちがチャンピオンになるべきだと思う」との表現で王座奪取を宣言。
 リングサイドに歩を進めたSPICEAPに対し、「あんなふうなふざけた試合してて、なにか偉そうにしゃべることはあるんですか?」とマイクを渡した。
 受け取った本間は尾崎妹加とともにエプロンに上がり、「どうも、第37代WAVEタッグチャンピオンのSPICEAPです」と自己紹介ののち、「ふざけた試合? ぬるい試合? いやいやいや、WAVEさんのタッグチャンピオンって、こういうのもできてこそじゃないんですか? それを教えてくれたのは、宮崎さん、私はあなただと思ってます。だから私たちはこのベルトを必ず18日、守り抜きますよ。その気持ちで、今日ここに来てます」と返した。
 続いて尾崎が「さっき試合見てたけど、私はやっぱり今でも、宮崎有妃の印象しかないかな。最後は(スリーカウントを)取ったかもしんないけど、どんだけ宮崎さんがアシストしてた? それがすべてじゃないですか。私たちはどっちも(フォールを)取れる。お互い困った時は、どっちも助け合える」と櫻井をこき下ろす形で挑発。そして櫻井の表情に目をやって「なんか出てますよ」と指摘して「桜花さんにボコボコにされて、そんなんで助けられないでしょ?」と続けた。
 これに宮崎が「お前、櫻井裕子の良さわかってねえなあ。どんなにやられても、根性で立ってくる。それが櫻井裕子だろ。お前らは1人+1人ですごいかもしんないけど、こっちは99対1かもしれない。だけどな、それだってな、お互い求め合ってれば、そういう生き方もタッグチームじゃないのか! 私はいいよ、櫻井裕子認めてるから。お前ら認めてなくたって、私が認めてればいいよな?」と返すと、櫻井は「ハイ!」と答えた。
櫻井の頬に一筋の水滴が伝わっているのを見た宮崎が「泣くな!」と叫ぶと、「汗です!」と返す櫻井。そして宮崎からマイクを受け取ると、「私は誰よりも練習もずっときたし、ずっとずっと負けてもあきらめずにプロレスを続けてきた! Color'sが解散しても戻ってきた! WAVEさんでもずっと今日までやってきた! 絶対に恩返しをする! ベルトを獲ってWAVEさんに恩返しをする! 絶対に負けない!」とはっきり聞き取れないほどの絶叫でアピールした。
 それを聞いていた宮崎は、「お前ら2人、こんな半分なに言ってるかわかんないぐらいにしゃべるぐらい、熱くなれんのか? なれねえだろ? クールに決めてんじゃねえよ。こっちは熱くいくんだよ」と冷静な口調で宣戦布告。それでも「なあ、裕子」と同意を求めると、櫻井は「ハイ!」と絶叫でこたえ、宮崎の方から「18日、よろしくお願いします」と握手を交わした。
▼Regina di WAVE次期挑戦者決定トーナメントNEXT~決勝~(時間無制限1本勝負)
○狐伯(10分56秒、パッケーデ)渡辺智子●
※狐伯が優勝。2025年1・1新宿FACEでのRegina挑戦権(王者は上谷沙弥)を獲得

 あとから入場してきた渡辺智子がリングインしたところに奇襲を仕掛けた孤伯。しかしリング下にエスケープした渡辺は、コーナー最上段に駆け上がった狐伯に攻撃を仕掛けて反撃に転じる。
それでも狐伯は、場外でのイス攻撃、ラリアットを受けながらもDDTを返していき、渡辺の動きが止まったところでコーナー最上段からのプランチャを見舞っていった。
リングに戻った渡辺にミサイルキックを叩き込み、エルボーの打ち合いを繰り広げるも、次第に渡辺との対格差から劣勢を強いられる。それでも強引なブレーンバスターを決めるなど一歩も引かず。腰を落とした渡辺に前後から走り込んでヒザを叩き込み、休む間を与えず丸め込みの連続でカウント3を狙っていく。
渡辺はカサドーラ狙いを押し潰してカウント2まで追い込み、2度目のカサドーラ狙いは狐伯の体をキャッチして後方に大きく投げ落とす。それでも狐伯は動きを止めることなく、渡辺に攻撃を仕掛けていく。パワーの差を生かしてラリアットを叩き込み、狐伯が仕掛けてきた丸め込みを切り返して押さえ込むシーンも見られた。そして3度目のトライでツームストーンドライバーを決めたが、狐伯はカウント3を許さない。
スタミナの消耗が激しく、次第に狐伯の動きに振り回されるようになった渡辺。最後は狐伯が執念でパッケーデで丸め込んでカウント3を奪った。
 先制攻撃は実らなかったものの、ノンストップでリング内を駆け回って渡辺をスタミナ切れに持ち込んだ狐伯の作戦勝ちといった印象の闘いだった。
◎エンディング

 敗れた渡辺智子だが、特に悔しい表情を見せることもなく、一方でやられてしまったというぼう然とした表情でもなく、サードロープに体を預けている孤伯に軽く礼をする動きを見せる。そして倒れ込んだままの狐伯に歩み寄って何やら声をかけると、手を差し伸べて引き寄せ、立ち上がらせた。さらに抱き寄せてから狐伯の左手を上げて勝利をたたえてから一例をして、笑顔を見せてからリングを下りた。
阿部由美子ZABUN社長から表彰状を受け取った狐伯はマイクを渡される。
手にした賞状に視線をやりながら「初めて、WAVEに来てこういう賞状をもらいました。Catch the WAVEの時も初めてメダルをもらって、初めて今日、賞状をもらいました。今日、智子さんからは、たぶん“自分を信じる”という強い気持ちをいただいたと思ってます。自分を信じて、上谷が持ってるRegina、絶対、取り返してきたいと思います。今日は、みんな応援していただいてありがとうございました」とRegina奪取を誓った。
 そして「いつですか?」と、激闘を終えてすぐのため挑戦する日付を忘れていた模様。「2025年1月1日、新宿FACE」と伝えられると、「じゃあ1月1日、必ず、ちょっと遠いかもしれないけど、孤伯がベルト獲るところ、みんな見に来てください」と伝え、「これが、WAVEだ!」の大合唱で2024年最後の大阪大会は幕を閉じた。