2021.04.03

「大阪ラプソディーVol.50」

出場全16選手がリング上に勢ぞろいしての入場式。
対戦カード発表ののち、挨拶に指名されたのはデビューしたばかりの塚田しずく。
 旧姓・広田レジーナさくらに冷やかされながらもマイクをつかみ、「本日はご来場、まことにありがとうございます。4月1日にデビューさせていただきました塚田しずくです。2戦目で地元の大阪で試合できることをありがたく思って、全力を出したいと思います。全5試合、応援よろしくお願いします」と、新人らしく元気に2021年度初の大阪大会の幕を開いた。
▼OSAKA・ヤングwave(20分1本勝負)
○笹村あやめ、進垣リナ(12分44秒、片エビ固め)神童ミコト、杏夏●
※パンダカッター改


 WWWD世界タッグのベルトを手にして入場してきた笹村あやめと新垣リナ。
試合は、笹村と神童みことが先発。速い動きでのリストの取り合いから神童がサイドヘッドロック、ロープワークからアームドラッグの打ち合いと続くが、まずはタッグ王者チームが連係を披露し、ダブルドロップキックで先制する。
しかし神童は落ち着いて、2人が背を向けた瞬間を見逃さずドロップキックを決めて杏夏にタッチする。
 リングに飛び込んできた杏夏は、エルボーの連打からドロップキック。しかし続いて狙ったボディーアタックをキャッチされ、そのまま敵コーナーに持っていかれる。速いタッチワークで杏夏を攻め立てるタッグ王者チーム。
笹村がボディースラムで叩きつければ、進垣は腕を痛めつける。

防戦を強いられながらも杏夏は、ドロップキックを決めたところで神童にタッチ。
ドロップキックの連発で反撃に転じた神童。飛び込んできた笹村をもコーナーに追い込み、2人まとめて串刺しドロップキック。

そしてボディースラム。前方回転からブリッジしてのチンロック式のキャメルクラッチを決めると、すかさず杏夏が飛び込んできてドロップキックを合わせる。新垣が神童をワキ固めに捕らえると、笹村はカットに飛び込んできた杏夏をマフラーストレッチでカットする。
ロープブレイクを経て、神童を肩に担いだ新垣がカミカゼを決めると、神童は笹村の攻撃をかわしてのドロップキックからエルボーの打ち合いに持ち込む。ショルダータックを決めた笹村はブレーンバスターを狙ったものの、首固めに切り返された。神童はセカンドロープからのドロップキックを決めたところで杏夏にタッチ。
ドロップキック3連発を決めた杏夏はクロスフェースロックへ。ロープに逃げられるとミサイルキック。しかし笹村は強引なブレーンバスター。カウント2で返されるとスタンドに戻って正面からエルボーを打ち込む。さらにロープに張り付けて、走り込んでのエルボー。串刺しバックエルボー。杏夏のエルボー連打にエルボーを連打で返した笹村。
串刺しドロップキックを交代で見舞い、神童のボディースラムのアシストからファンタスティックフリップ。杏夏の丸め込みの連続をいずれもカウント2で返した笹村。杏夏がロープに走ったところに強烈なショルダータックルを決めてミサイルキック。そしてパンダカッター改でマットに沈めた。
▼OSAKA・スクランブルwave(20分1本勝負)
桜花由美、○桃野美桜(18分17秒、体固め)沙恵、三浦亜美●
※ダイビング・ボディープレス


 握手を交わし、桃野美桜と三浦亜美が先発して試合開始のゴング。手四つの力比べを誘う三浦。それに応じようとする桃野だが、手が届かず。マミーを呼び込んだ桃野。肩車してもらい手を高く突き上げる。今度は三浦が届かない。ならばと沙恵に肩車してもらうが、三浦の体重を支え切れず崩れ落ちてしまう。
相手の失敗に乗じて、マミーとの連係を決めていく桃野。タッチを受けた桜花由美は、三浦の髪をつかんで大きく投げ飛ばし、コーナーを背にしたところを踏みつけていく。さらにロープ際で背中に乗り、腰にダブルニードロップを落とす。2人がかりで三浦にキャメルクラッチとダブルレッグロックを決めるボスマミ。三浦はショルダータックルを桃野に決めて沙恵にタッチした。
桃野をコーナーに追い詰めて踏みつける沙恵。リング中央でボディースラムを決めるが、桃野もボディースラムを返して桜花にタッチ。顔面を踏みつけ、トップロープに顔をこすりつけていく桜花。沙恵とエルボーを打ち合った桃野は、逆水平、DDT、低空ドロップキック、ビッグブーツを浴びながらも、ドロップキックを浴びせて意地を見せる。
タッチを受けた桜花は、串刺しビッグブーツから桃野の串刺しドロップキックをアシスト。バックドロップ狙いは踏ん張られて阻止されるが、ビッグブーツの打ち合いに持ち込む。スピアを決めた沙恵がドラゴンスリーパーに捕らえるも、桜花はサードロープに足を伸ばしてブレイクに持ち込んだ。
 ロープを背にした桜花にラリアット、ビッグブーツを叩き込んだ沙恵。コーナー2段目からのドロップキックを決めたところで三浦にタッチ。
ショルダータックル4連発からの逆エビでギブアップを迫った三浦は、ロープに逃げられるとアルゼンチンバックブリーカーを狙う。後方に滑り下りた桜花は、相手の両腕を首の周りでクロスさせてからのバッククラッカー。ビッグブーツを何発も叩き込み、クロスフェースロックで締め上げる。ここは沙恵がカット。
逆水平の連発からカウンターのダブルチョップを決めた三浦。再度、アルゼンチンバックブリーカーを狙ったが、桜花は首筋にエルボーを叩き込んで阻止。そして桃野にタッチする。
ボディーアタックを決めた桃野は、ロープ際で腰を落とした三浦にドロップキック。桜花、沙恵もリングに飛び込んできてブレーンバスターの打ち合いなったが、投げ勝ったのは沙恵&三浦。そしてダウンした桃野に連続してのボディープレスを浴びせていく。桃野に逆エビを決めた三浦は、ロープに逃げられるとアルゼンチンバックブリーカー。ここは桜花がカット。
丸め込みの連続からバックの取り合い。三浦が桃野を羽交い絞めにしたところで沙恵が飛び込んできて2人がかりの攻撃を狙ったが、桃野はヘッドシザースの要領で沙恵の首をハサミ、そのまま2にまとめて投げ飛ばす。
桃野はカサドーラの要領で三浦に飛びつき、丸め込まずにフットスタンプを落とす。1発だけにとどまらず、カウント2で返さされるたびに踏みつけていく。最後はコーナートップからの急降下ボディープレスで圧殺。三浦からカウント3を奪った。
▼OSAKA・プロレスゼミナール~チャレンジwave(15分1本勝負)
△KAORU(時間切れ引き分け)塚田しずく△

 デビュー2戦目で“昭和の遺産”ともいうべき大ベテランであるKAORUと一騎打ち。珍しくKAORUはテーブルを持たずに入場。
 握手を交わして試合開始のゴング。ロックアップするも、KAORUはと檄を飛ばすほどの余裕。ロープに押し込んだというよりは、あえてKAORUが押し込まれたという感じでロープを背に。塚田しずくはブレイクの際にエルボーを打ち込んでいった。
2度目のコンタクトは手四つでの力比べ。KOARUは表情一つ変えず余裕で制し、塚田の両手を踏みつける。立ち上がった塚田は正面からエルボーを叩き込み、自らロープに走ってドロップキックを連続して、さらにエルボーをこれでもかと打ち込んでいく。ただKAORUは、あえて受けているという感じ。
ここで塚田はボディースラムを狙う。KAORUを抱えるも上げきれず崩れてしまう。それでもなりふり構わず押さえ込みにいった。2度、3度、4度……とボディースラムにチャレンジ。なんとか6度目で不完全ながらも投げ切った。
髪をつかんでの投ること3度。しかしKAORUの表情には笑みが……。いつの間にか、団体の垣根など関係なく、先輩がリングを取り囲んでいる。ここでリング下から桜花が「逆エビいけ!」と指示。その言葉通り逆エビを決めていく。特にKAORUが踏ん張っているわけではないにもかかわらず、すんなりステップオーバーできない。
なんとか逆エビの形に入ったが、長時間それをキープできない。体勢が崩れたところでダブルレッグロックへ移行。そこから弓矢固めを狙う。本部席から試合を見つめていた二上美紀子会長が思わず「あんなん教えてへんで」と漏らしたが、塚田は本能で決めていった。
体勢が崩れたところでキャメルクラッチに持ち込んだKAORU。そしてボディーシザースへ。しかし塚田は馬乗りになってエルボーを振り下ろしていく。両脚に力を込めて、ボディーシザースで締め上げるKAORU。苦しみながらも塚田は、試合を捨てず必死になって向かっていく。
またしても逆エビを狙った塚田だが、KAORUは脚力で阻止し、先ほどのお返しとばかりに弓矢固めを狙う。しかし、うまく体を反転できず。体勢が崩れたところで塚田は、KAORUの両脚をつかんで逆エビへ。そして再び弓矢固めを決めていった。
 コーナーに飛ばして串刺しドロップキックを放っていった塚田。さらにリング中央のKAORUにドロップキックを打ち込んでいくも、すでにスタミナ切れ状態で威力は全く感じられない。それでも必死で向かっていく。
KAORUが仕掛けてきたボディースラムを首固めに切り返したもののカウント2。ただ、これにはKAORUも驚きの表情を隠せない。ここでほぼ完ぺきなボディースラムを決めた塚田。さらに首投げを決める。2度目の首投げを踏ん張ってこらえたKAORUは、まるで技を教えるようにフライング・メイヤーを2度、3度と決める。そしてサーフボード。塚田が立ち上がると、スタンドでのハンマーロックに移行する。スピードこそ感じられなかったが、塚田は動きを確かめるような感じで切り返していった。
KAORUのステップトーホールドには悲鳴を漏らした塚田。しかし下から蹴り飛ばして脱出し、逆にステップトーホールドをお返し。さすがに簡単に切り返されたが、塚田は何かに憑りつかれたようにドロップキックを何発も放っていく。
ドロップキックを放つも効かないとみるや自らに気合を入れるように叫んでからエルボーを叩き込む。そしてまたもやドロップキックを放つ。しかしKAORUは微動だにしない。あえて「もっと来い!」と促していく。
「残り時間1分」とコールされたところでドロップキックを放っていった塚田。「残り30秒」とコールされてから2発ドロップキックを打ち込んだところでタイムアップのゴングが打ち鳴らされた。
試合後、マイクを手にしたKAORU。
「15分ありがとうごさいました。ねえ初めてでしょ、15分間動き回ったの? もっとやった方がいいよ、15分ドロー。いい、桜花さんや広田選手、宮崎選手、あと野崎、たぶんね、この人たちと練習やっても、なかなかやってくれないのよ。だからマーベラスの道場に来たら? で、1日何人もスパーリング……(リング下にいた桃野に了解を取るように)私、勝手に言ってるけど、大丈夫? 美桜さんがOK出してくれてるので。あのね、場数で考えんのよ。やれることはやれてんの。デビューまで相当長かったと思うけど、やれることはやれてんの。だって、私が教えたのが広田だから。(その)広田が教えてくれてるから。だけどあの子、厳しくできないから。もっともっと自分を追い込まれた方がいいから。(マーベラスの)道場に来て、あたし(が相手するわけ)じゃないけど、若い子いっぱいいるから、とっかえひっかえスパーリングしてもらいなさい。そしたらもっともっと動きがスムーズになるし。やれることはやれてんだもん。だって私(弓矢固め決められて)痛かったもん、腰。弓矢(固め)、私はできなかったけど、あなたはできたんだから。さっき(開場前)練習してたの見てたけど、勘はいいからさ、できないことないんだよ。あとはもう、場数と、自分をどれだけ追い込めるか。話しか聞いてないし、練習してるとこ見たことないけど、GAEA JAPANの10分の1、マーベラスの半分もやってない。もっともっとやった方がいい、練習。これからだもん、頑張って。って思うんだ。どうかしら、皆さん? もっともっと、ほんとに。そして他団体呼ばれたら、どんどん出した方がいいよ。負けようが何しようが、ほんと場数だもん。私、マーベラスの子たちはほんと、WAVEさんにお世話になって、WAVEさんに育ててもらってると思うから。マーベラスは月2回しか(試合が)ないけど、WAVEさんに倍以上出してもらってるからさ。で、育ってんだ、この子たちは。だから試合数って大事。人の前に出るって大事。もっともっと垢抜けていくよ、そうするとね。はい、お疲れさまでした。ありがとうございました」
 そのKAORUの言葉を正座して聞いていた塚田。
さすがにKAORUは最後に「私からギブアップやフォール取れなくて悔しがってたもん。獲れるわけないよ、バカ!」と言ったが、その表情は笑顔。立ち上がった塚田と握手を交わしたが、涙を流している塚田とは対照的にうれしそうだった。
 塚田は四方に礼。そしてリングを下りると、桜花に抱えられるようにして引き揚げていった。
15分時間切れ引き分け。この結果だけを見ると、「デビュー2戦目で引き分けなんて大金星」「KAORUは相手を甘く見ていたのでは?」「手を抜いていた」……など、思うことはそれぞれだろう。
 デビューするに際して、二上会長は「WAVE史上最低の仕上がり」と口にした。ハッキリ言って、デビューさせるレベルに達していない。それは体力的にも、技術的にも。それはこの試合を見れば明らか。ボディースラムすら満足に決められないのだから、「見せられるレベルでない」と酷評されても仕方ない。
 KAORUにすれば簡単に試合を終わらせられたはず。秒殺もできたし、やらせるだけやらせて残り10秒で決めることもできた。しかし、それをしなかった。あえて勝たなかった。
 KAORUはほとんど攻めていない。KAORUが繰り出した技らしい技といえばサーフボード、ステップトーホールド、フライング・メイヤーぐらい(弓矢固めは失敗している)。エルボーを叩き込まれても打ち返していない。では、わざと受けていたのかというとそうでもない。ドロップキックにしても、威力がないから倒れなかっただけ。そうやって無理やり15分引っ張った。それは、エキシビションとはまた異なるフルタイムの世界である。その中でKAORUは、プロレスに最も大切なことを試合を通じて教え込んでいた。
 デビューさせるだけのレベルに達していない塚田に対し、なぜ実戦で鍛えていこうという方針をとったのか。そして、地元でのデビュー2戦目の相手になぜKAORUを起用したのか……など、様々な回答がこの一戦から見て取れる。
 この試合は「プロレスゼミナール」と銘打たれていた。これは対戦相手だけでなく、見る者も受講者。さて、あなたはこの一戦をどう消化する……。
▼OSAKA・ストレンジwave(15分1本勝負)
○野崎渚(8分5秒、ドルミル)ハイビスカスみぃ●


 「よろしく」と凄みを利かせて握手を交わしたハイビスカスみぃ。野崎はこわごわ、差し出された右手を握り返した。
野崎のショルダータックルを受けたみぃだが、エルボーを打ち合っていく。そしてショルダータックルでダウンを奪うと、アルティメット・ウォリアーばりにトップロープを揺らすパフォーマンス。背後から蹴りを叩き込まれても、我関せずでトップロープを揺らしていった。
首投げを決め「よっしゃいくぞ!」とアピールすると、腰を落としてる野崎の背後に回り、背中をしての前屈ストレッチ。次は前に回って両手を引っ張る形の前屈ストレッチ。意外な攻撃に、ほとんど上体が前に倒れず苦しむ野崎。さらに立った状態で背中合わせになり、背中を伸ばすストレッチ。野崎は「体硬いのバラしやがって!」と叫んで反撃に移った
互いの足の甲を思いっきり踏み見つける攻撃の応酬。みぃがランニング・ネックブリーカードロップを決めれば、野崎はビッグブーツを叩き込んでいく。みぃのエルボーをあえて受ける野崎。効かないとみたみぃがロープに走ってエルボーを叩き込もうとしたが、野崎は前のめりに倒れてしまう。それを見たみぃは、「効いてたんかい!」。
救世忍者乱丸まで登場するお笑いの展開に巻き込まれながらも、ビッグブーツを叩き込んでいく野崎。しかし、みぃもランニング・ネックブリーカードロップを返していく。そしてエプロンからトップロープに上るが、なぜかそのまま下りる。しかも飛び降りるのではなく、ロープを1段ずつ足場にしながら。
ドルミルをロープに逃げられた野崎は、腰を落としているみぃに走り込んでのダブルニーアタック(蒼魔刀)。そして低空ドロップキックの追い打ち。
 野崎に攻撃されながらもみぃは、力強いラリアット、チョークスラムを決めた。
そしてコーナー最上段へ。フライング・ボディーアタックを放っていったが、距離が足りず墜落。足元に倒れたみぃに野崎がキャメルクラッチ式でドルミルに捕らえる。上半身を反らさせると、みぃは次の瞬間、高田延彦の伝説の高速(光速?)タップよりも早いタイミングでギブアップ。
▼DUAL SHOCK WAVE~WAVE認定タッグ選手権試合(30分1本勝負)
<王者組>○門倉凛、青木いつ希(19分13秒、エビ固め)旧姓・広田レジーナさくら●、宮崎有妃<挑戦者組>
※カドクラハルカス。第25代王者組が初防衛


 ベルトの返還、記念撮影といったタイトルマッチセレモニーを経て、握手を交わし、青木いつ希と旧姓・広田レジーナさくらの先発で試合開始。まずはショルダータックルを決めた青木だが、広田は観客まで巻き込んで自身のペースに引き込み、ボディースラムで叩きつける。
門倉が飛び込んできて連係で広田を追い込んでいく王者チーム。タッチを受けて正式に試合権利を得た門倉は、ボディースラム、キャメルクラッチと攻め立て、低空ドロップキックで顔面を撃ち抜くが、ネックブリーカードロップを浴びて宮崎有妃とのタッチを許す。
宮崎は重量感あふれる低空ドロップキックからレッグドロップ、串刺しラリアット、ダブルレッグロック。そのまま相手の背中に全体重を浴びせかけていく。青木は重なり合っている2人をプレスしてカット。門倉はランニング・ネックブリーカードロップを返して青木にタッチ。
宮崎に逆エビを狙った青木だが、ステップオーバーできず。ならばとダブルレッグロックに決めてギブアップを迫る。宮崎はロープブレイクに持ち込み、DDTを決めて広田にタッチ。
青木をコーナーに追い詰めてボ・ラギノールを決めた広田。そしてスイングDDTを狙ったが、そのまま1回転してセカンドロープに乗せられ、デッドリードライブ気味に叩きつけられた。
ショルダータックルから串刺しエルボー、フェースクラッシャー、倒れ込みながらのボディープレスと攻め立てる青木。しかし広田は、青木をフィンガーロックに捕らえるとロープ渡り。ここで門倉が飛び込んできてロープを揺らす。だが広田は、飛びついて門倉の首を挟み込むと、青木と2人まとめて投げ飛ばした。ダウンした2人にボ・ラギノールを決めると、青木はリング下へエスケープ。
ここでトペを狙った広田。だが、ロープに走ったところで門倉がドロップキックを合わせる。さらに2人がかりでブレーンバスターを狙ったものの、DDTに切り返した広田は、またもやボ・ラギノール。
替わった宮崎は、ロープを背にする青木にラリアットを放つも、青木は門倉を呼び込んで追撃を阻止。ショルダータックルの打ち合いを繰り広げた青木と宮崎だが、最後は青木がラリアットで打ち勝つ。しかしすぐさま宮崎もラリアットをお返し。
一進一退の攻防からタッチを受けた門倉がミサイルキック、キャノンボール、ウラカンラナと攻め立てる。そして青木を呼び込むも、両腕でのラリアットを浴びて2人同時に倒される。門倉をボディープレスで叩きつけた宮崎は、コーナーの広田を担いで門倉に叩きつけていったが、かわされてしまう。改めてシーソーホイップでのプレスを狙ったが、門倉は両足を突き立てて阻止。その反動で宮崎のヒザの上で仰向け、バックブリーカー状態となる。
恥ずかし固めを狙った宮崎だが、門倉は必死に回避。だが、広田のボ・ラギノールのアシストもあって決められてしまった。慌てて青木がカット。
 宮崎はえびす落としを決め、替わった広田は側転してからのボ・ラギノール。さらにコーナーにセットした門倉に雪崩式のヘナーラサンライズを狙った広田。だがこれは、青木にバックドロップで叩きつけられる。すかさず門倉がダブルフットスタンプ。続いて青木がボディープレス。そして門倉がノーザンライトスープレックを決めるがカウント2。
さらにロープに走った門倉だが、宮崎がリング下から足を引っ張って引きずり落とす。そこに広田がトペ。リングに戻ると、広田がシャイニング・ウィザードからワキ固め。それをカットした青木がバックフリップを決めるとで、門倉がジャックナイフで丸め込む。目まぐるしく攻守が入れ替わる攻防の中で同士打ちを誘った門倉は、広田にトラースキックを決めてコーナーへ。だが広田に、雪崩式ヘナーラサンライズで叩きつけられた。
 宮崎のムーンサルトプレス、広田のヘナーラサンライズと連続攻撃を浴びた門倉だが、広田のブリッジが崩れて命拾い。悔しがる広田。攻撃の手が緩んだスキに、リングに飛び込んできた青木が門倉を自分の右肩に座らせ、そのまま立ち上がろうと前傾姿勢の広田にトス。広田の肩口に絡みついた門倉は、その勢いで逆打ちを決める。そのままガッチリ固めると、カウント3が数えられた。
抱き合って勝利を喜ぶ王者チーム。阿部由美子ZABUN社長から認定書とベルトを受け取っると、その姿をリングに座ったまま見ている広田と宮崎に歩み寄り、座礼して握手を求めた。
 そしてマイクを手にした青木。「門倉と青木、勝ちました! 凛ちゃん、おめでとう!」と叫び、「(4月)1日に(対戦して)絆を深めたおかげだね。とりあえず凛ちゃんが勝ったから、しゃべってください」とマイクを渡す。
門倉は「大阪で、初防衛しました! 勝ったってことは、青木と門倉が門倉と青木になるってことですよね? (リング下にいる阿部に向かって)社長、いいですか? 変更お願いします。変更してください」
 そして、「宮崎さん、広田さん、本当にありがとうございます」と続け、「でも広田さんには、結構自分勝率いいんで。次やっても負ける気しないですよ」。
これに広田は、「別にしゃべることないけど。だってあたし、(タッグ)チャンピオンになれなかったし。初防衛なんだって? たった1回防衛したぐらいで。別に私、もう1本ベルト持ってるし。入場式でも、私の方が一番最後に(リングに)上がってるし、私の方が上なんで。そういうことなんで。……これ以上、何か言うことあります? 別にないよね」と言ってリングを下りようとする。
 「ちょっと、帰んないでください」と引き留めた門倉は、「自分、広田さんに今日、勝ちましたよね? そのベルト、自分欲しいなあって思ってるんですけど。チャンピオンですよね?」と挑戦表明。この発言に慌てた広田は、「やめときなって。タッグでこれからっていうときなんだから、(シングルは)やめときなって」と必死になって拒否する。
 それでも門倉は「もう1本ベルト欲しいんですよね、自分。この勢いで」と続ける。思い出したように「そうだ。Catch(the WAVE)、もうすぐCatchが始まるから、防衛戦、やらなくていいじゃん」と避けようとする。「まだCatchに出るとか決まってないんでしょ? それじゃ(Catchに)出たいですとかまず言い始めて、それを認めてもらって、そこからCatchを勝ち上がっていって、それで私とやりましょう。だからそれまで防衛戦やらなくていいですよね?」の広田の言葉を聞いていた阿部社長は、「今年のCatchが、もうすぐ始まるの。なので、Catchに出場して、優勝して、そのベルト獲りにいってください」と広田を支持する形。広田は改めて「それまで防衛戦はなしってことでいいですか? ハッキリ言ってください」と確約を取り付けようとする。阿部社長は「もうすぐCatchが始まるから、それまで待て。それでいい」とCatch優勝者が次期挑戦者になることを伝えた。
 このやり取りを聞いていた門倉は「それはCatchに出るってことですね?」と念を押し、「絶対勝ち上がって、そのベルト巻きますから、自分。今年絶対2冠になります」とCatch優勝に加え、ベルト奪取まで宣言した。そして広田に向かって、「絶対勝ち上がるので、それまで防衛……しないで、ベルト持っててください」と宣戦布告した。これで安心したのか、広田は宮崎とともにリングを下りた。
門倉は改めて「今日、自分が勝ったので……」と大会を締めようとしたが、ここで上がってきたのは沙恵と杏夏。マイクを持った沙恵は、「ちょっとちょっと」と言葉を遮り、「とりあえず初防衛おめでとうございます。覚えてるかな、こないだの名古屋でタッグマッチやったじゃない? その時、実はね、スリーカウント取ってたんだけど、うるっさいのが邪魔してたの。忘れたとは言わせねえよ」と2・28名古屋での因縁を持ち出してきた。
 門倉は「(スリーカウント)取ってない取ってない」と否定するも、沙恵は「ある。絶対ある」と返す。「記憶にない」と言う門倉に、「都合の悪いことは忘れるってか?」と追い詰めていく沙恵は、リング下から「映像残ってる」という阿部社長の言葉に、「信じられないなら映像見てください」と沙恵。
 さらに「そっちのタッグ、ほんとに仲いいように見えないんだよね」と続け、「ウチら、何年も(タッグを組んで)やってきてんの、(柳ヶ瀬プロレスの)Ladiusで。そのベルト、欲しいな」と挑戦を表明。しどろもどろになりながらも、「悪いけど今はもう仲いいよ、たぶん」となんとか回避しようとする門倉。ここで青木が「わかった! その挑戦は……いったん持って帰っていただきます!」と回答はお預けに。
「とりあえず(そのベルトは)もらう」と言い残して去っていった沙恵と杏夏。そして門倉がマイクを持ち「青木と門倉、大阪で初防衛(戦)、勝ちました。今日は締めさせていただきたいと思うのですが、今日は青木が大阪出身なので、青木に占めてもらい追うと思います」と青木に譲る。
 出場全選手をリングに呼び込んだ青木は、所属団体の締め言葉である「ショーンキャプチャー!」と叫んだところで、後ろから広田と宮崎に突き飛ばされる。
強引にマイクを奪った広田が、次回大阪大会(8月1日、176BOX)を告知したのち、「これがWAVEだ!」と音頭を取ってWAVEらしく締めくくった。