2020.07.24

夏祭り・西

出場全14選手がマスクを着用してリングに登場。対戦カード発表ののち、挨拶に指名されたのはHIRO'e。
「皆さん、こんにちは! 3月21日から試合ができなくなって4カ月。大阪に4カ月ぶりに帰ってきました! (マスク着用をお願いしている)このような状況で、あまり声を出せないとかいろいろあるんですけど、マスクをしたままでしたら声援飛ばしていただいて大丈夫ですので、皆様、応援しないじゃなく、全然応援してください。そして今日はメインイベントで、広田さくらとシングルマッチです。皆さん、私を間違えないでくださいね。ぜひ(応援)お願いします。(今日は)全4試合です。みんな頑張っていきますので、応援よろしくお願いします!」と元気いっぱいでオープニングとした。
1、OSAKA・ヤングwave(20分1本勝負)
優宇&高瀬みゆき&○青木いつ希(14分22秒、片エビ固め)笹村あやめ&林亜佑美&花園桃花●
※ラリアット

 
 握手を交わし、高瀬みゆきと林亜佑美の先発で試合開始のゴング。林が「わっしょい! わっしょい!」と大合唱を誘発。最初は渋っていた高瀬だが、周りの雰囲気に負け「わっしょい! わっしょい!」と呼応すると、林は背後からドロップキックを叩き込み、首投げ連発で先制した。タッチを受けた笹村あやめはサイドヘッドロックに捕らえ、花園桃花は髪をつかんで高瀬の顔面をマットに叩きつけ、キャメルクラッチで顔面をかきむしる。
しかし高瀬は、林をボディースラムで叩きつけて反撃。タッチを受けた青木いつ希は林をロープに貼り付けにして、背後からボディーアタック、高瀬もドロップキックで続き、林のお株を奪う「わっしょい!」の大合唱。優宇は逆水平から串刺しエルボーアタック、そして腕十字へ。林はサードロープに足を伸ばしてブレイクに持ち込んだ。
 ドロップキックを返した林。ボディーアタックを受け止めた高瀬に対し、林はサンセット式の前方回転エビから低空ドロップキック。さらに「わっしょい!」と気合を込めながらのショルダースルー。笹村は左右のエルボーを叩き込み、ボディースラムで追い打ち。高瀬は逆水平、エルボーの連発から、ロープを背にしたところをラリアット。コーナーに振られると、セカンドロープに飛び乗ってのドロップキックを決め、笹村の突進をパワースラムで切り返していった。
代わった優宇はスピンしてからのサイドバスターで笹村を叩きつけると、相手の腕をつかんで逆水平を打ち込んでいけば、笹村は優宇をコーナーに追い込んででエルボーを叩き込んでいく。優宇の逆水平に対し、笹村はエルボーで応戦。優宇はカウンターの払い腰を決めて青木にタッチ。
 エルボーの連発からロープに走った青木に対し、ノータッチのままリングに飛び込んできた花園は、林とのダブルドロップキックを決める。さらに串刺しエルボー、スピアを決めた花園は、林のドロップキックのアシストを受けて投げ捨てジャーマン。2発目を踏ん張ってこらえた青木に対し、花園は前転してグラウンドに持ち込んでメキシカンストレッチから馬乗りアームロックへ。しかしカットされてしまう。
乱戦の中、青木に呼び込まれた高瀬がミサイルキックを決めると、花園に対して青木が串刺しラリアット、優宇がキャノンボールアタックと続く。そして青木はコーナー2段目からジャンプしてのダブルフットスタンプ。ここは笹村のカットが間に合った。ならばと青木はバックフリップを狙って花園を肩に担ぐ。後方に滑り下りてエルボーを叩き込む花園に対し、青木もエルボーをお返し。
ロープに走った花園が返ってきたところ、担ぎ上げてバックフリップ。カウント2で返されると、対角線を走ってのラリアット。ガッチリ押さえ込んでカウント3を奪った。
2、OSAKA・チャレンジwave(15分1本勝負)
○宮崎有妃(11分44秒、外道クラッチ)関口翔●
 

 チャレンジマッチらしく、ゴング前に関口翔の方から握手を求める。宮崎有妃がガッチリ握り返して試合開始のゴングが鳴らされた。ゆっくりと反時計周りに回ってからフィンガーロック。力比べでは宮崎が優勢。髪をつかんで投げ、コーナーに追いつめて踏みつけていくと、リング下にいた高瀬みゆきが「ロープだろ!」と抗議。
関口のボディーアタックを受け止めて前方に叩きつけると、ギロチンドロップから恥ずかし固めへ。
 スタンドに戻ってエルボーの打ち合いから宮崎の突進を一本背負いで切り返した関口は、串刺しドロップキック、フェースクラッシャーとつないでワキ固めへ。宮崎がサードロープに伸ばそうとした腕もキャッチして、そのままサーフボードスタイルで締め上げていった。ロープに逃げられるとボディースラムを狙った関口だが、逆に叩きつけられてしまう。
髪をつかんでのキャメルクラッチから関口の指にかみつく宮崎。関口も指にかみついて脱出。スタンドでリストロックに捕らえた宮崎は腕にかみついていく。宮崎がコーナーの突進してきたところをかわした関口。ドロップキックをかわされたものの、ギロチンドロップを自爆させて低空ドロップキックを連発。関口が仕掛けてきたブレーンバスターで切り返した宮崎。
バックに回られても一歩ずつロープににじり寄ってブレイクに持ち込み、関口をロープに飛ばしてラリアット。関口はセカンドロープに飛び乗ってのボディーアタック、セカンドロープからのドロップキック。さらにエルボーを叩き込んで、正面から飛びついてのフロントネックロックで絞め落とそうとするも、宮崎はパワーにものをいわせ、強引に持ち上げてロープまで歩を進めてブレイクに持ち込んだ。
 ミサイルキックを決めた関口だったが、宮崎はすぐに立ち上がってラリアット。そしてえびす落としを決めたが、関口はカウント2で肩を上げていく。続くムーンサルトプレスをかわした関口は丸め込みの連発で逆転を狙う。逆さ押さえ込みを踏ん張った宮崎は、
目突きからの丸め込み。カウント2で返されると外道クラッチへ。ここでカウント3が数えられた。
3、OSAKA・スクランブルwave(20分1本勝負)
○野崎渚&SAKI(18分39秒、ドルミルⅢ)桜花由美&進垣リナ●
 

 新旧レジーナが若手を引き連れてのタッグ対決。野崎渚と桜花由美が先発。静かな立ち上がりから、互いに相手の攻撃をかわしていく展開に。動きが止まったところでそれぞれパートナーにタッチ。
 リングに飛び込みざま、ドロップキックを決めた進垣リナ。優勢のまま桜花にタッチ。髪をつかんでの投げを放つ桜花。SAKIをコーナーに追い込んで進垣と2人がかりで踏みつけていき、ロープ際でボディーにニードロップを落とす。さらに2人がかりでのアームロックで搾り上げるが、SAKIはアトミックドロップを決めて野崎にタッチ。
桜花をコーナーに追い込んで逃げ場をなくしてブレイジングチョップを連発していった野崎。さらにリング中央で逆片エビに捕らえ、ブルレッグロックからリバースインディアンデスロック。そして鎌固めへと移行する。
タッチを受けた先はストンピングを叩き込み、ダブルレッグロックから野崎のアシストを受けての弓矢固めへ。反撃に転じた桜花はカウンターの腰投げからワキ固め。代わった進垣はショルダーアームブリーカー。さらにロープを使っての腕殺し。アトミックドロップ、ボディースラムからダイヤル固めを決めたSAKIは、カンパーナでギブアップを迫る。
SAKIが仕掛けてきたブレーンバスターを相手に絡みついて阻止した進垣は、そのままチキンウイングアームロックでギブアップを迫る。しかしSAKIは、進垣を抱えたままコーナーまで進んでブレイクに持ち込んだ。進垣は串刺しドロップキックからジャンピング・アームブリーカーを決めたところで桜花にタッチ。桜花はスタンガンからビッグブーツを叩き込んで、ワキ固め、腕十字と攻め立てる。野崎のカットに助けられたSAKIは、ブレーンバスターを返してリバーススプラッシュ。アトミックドロップからのビッグブーツと続ける。
タッチを受けた野崎は、串刺しビッグブーツを皮切りにビッグブーツを連発。そしておしゃれキック。それに対し桜花も、これでもかとばかりにビッグブーツを叩き込んでいき、串刺しビッグブーツからカカト落としを決める。
 進垣はドロップキックの連発から野崎のビッグブーツを同士打ちさせるとワキ固めへ。しかしSAKIにカットされてしまう。ここでコーナーに上がった進垣だったが、野崎は雪崩式ブレーンバスターで叩きつけ、相手の腕をつかんだままでのビッグブーツ、ダブルニーアタック、さらにノアールランサーを叩き込んでいく。
桜花がビッグブーツでカットしたところを丸め込んでいく進垣。しかしカウント3には至らない。カウンターのビッグブーツを叩き込んだ野崎は、ノアールランサー・ハイから
チキンウイング式のドルミルへ。そのままグラウンドに引き込んで胴締め式に移行してのドルミルⅢでギブアップを奪った。
▼OSAKA・モシャスwave~COUNTDOWN LONG BEACH・23日~(15分1本勝負)
○旧姓・広田エリザベスさくら(10分6秒、ジャックナイフ式エビ固め)HIRO'e●
※裏カサドーラから

 
 純粋なWAVEの大会としては最後の大阪となるHIRO'e。旧姓・広田エリザベスさくらはハンドメイドのHIRO'eのコスプレで登場、レフェリーのボディーチェックの際にはHIRO'eが笑う際の癖をマネして精神面でダメージを与えていく。
試合が始まってもすぐには組み合わず。「なんかやりにくい」と漏らすHIRO'eだが、グラウンドでのヘッドシザースでペースをつかむと、互いにフェースクラッシャーからプロレスLOVEポーズを決める流れから、広田の誘いに乗ってタカダジュンジへ。しかし体を飛び越えられたところで起き上がった広田は阻止。まだ大阪では、自身の自主興行が残っていることを理由に「やらせるか!」。
HIRO'eをオーナーに飛ばした広田は、HIRO'eが得意とする串刺しスピアを決めるが、スピードもなく、距離感からも力強さが感じられない。笑いを誘う形に。HIRO'eは、これがお手本だとばかりに同じ技を返していくと、ブレーンバスターからロープ際で腰を落とした広田の顔面にドロップキックを撃ち抜いていく。しかし、調子に乗って背を向けてコーナーに上がったところにボ・ラギノールを決めてペースを引き戻す広田。コーナーに振られたところでHIRO'eが得意とするセカンドロープに飛び乗ってのボディーアタックを狙ったものの、足を滑らせて転落。この機に乗じてコーナー2段目に飛び乗ってのボディーアタックを決めたHIRO'eは、ノーザンライトスープレックスを狙ったものの、ここは広田に踏ん張られて不発。それでも投げ捨てジャーマン、ミサイルキックで広田を追い込んでいった。
ノーザンライトスープレックスをカウント2で返されたHIRO'eは、バックドロップを狙う。これを後方に一回転してかわした広田。ロープに走ったHIRO'eに対しボディーへの正拳を決めると、コーナーに飛ばして「みんな上がって来い」と呼び込む。しかし、誰も上がって来ず。リング上の流れが止まってしまった。
コーナーに振られた広田は、セカンドロープに飛び乗って振り返りざまにボディーアタックを放っていったが、距離が届かず自爆(というよりも墜落)。一瞬、気が緩んだHIRO'eに対しカサドーラ、スピアを決めていった広田。
 ここから丸め込みの応酬になるが、互いにカウント2で返していく。カサドーラをカウント2で返した広田はボ・ラギノール。そしてロープに走るが、HIRO'eはカウンターでのカサドーラで丸め込む。カウント2で返した広田はボ・ラギノールを決めるもダブルノックダウン。カウントが数えられ、広田がカウント9で立ち上がったところへスピア2連発を決めたHIRO'e。
ロープ際で背を向けて立ち上がろうとする広田に裏カサドーラで丸め込み、その勢いでジャックナイフへ移行するもカウント2。同じ技を広田が決めるとカウント3が入った。これには敗れたHIRO'eだけでなく、勝った広田までも信じられないといった表情を隠せなかった。
勝利した広田がマイクをつかむ。どこまでもHIRO'eになり切って、「(引退まで)あと1カ月ぐらいですが、気持ちを整理して、6年間の思いを、大阪に行きたいなと思って。でも、今日やっと、自分の力で、HIRO'e、(広田に)勝ったぞ!」と勝利の喜びを爆発させた。そして「一言だけ。短めに一言だけ」とHIRO'eにマイクを渡す。
 最初に「ありがとう!」と叫んだHIRO'eは、「今日の今まで、ありがとうございました!」と感謝を伝える。ここでマイクを奪った広田は「今日、WAVE大阪最後。あとは広田の大阪自主興行(8月9日、アゼリア大正)で、盛大に送り出したいと思うから、心折れることなく、また(大阪に)来てね。皆さん、広田とHIRO'e、最後の最後のシングルマッチ、ありがとうございました」と伝える。そして、「なぜ、みんな、(試合中に呼びかけたのに)リングに上がらなかったのか、あとで控室で一人ひとり聞きたいと思います。だからみんな、(リングに)上がってください」と呼びかけるも、誰一人としてリングに入ろうとしない。「ほんとに上がって下さい! 上がってよ! 上がってください!」と何度もお願いするまで無視されたが、ようやくWAVE所属選手が渋々とリングイン。
 ここで桜花が、コロナウイルスの影響で中止となった3月と5月の大阪大会のチケット振替に関する不手際を詫び、気を取り直して「HIRO'eに締めてもらいます」。目の前にいる2人のHIRO'eに目をやって、「かわいい方に締めてもらいます」と付け足すと、広田が「ハイ!」と元気よく返事して、マイクをつかみ取った。
「かわいくて、若い方のHIRO'eです」と言い切った広田は、「HIRO'eは8月で引退しますが……」とまで口にしたところで、WAVE所属以外の選手がリング下を取り囲んでるのが目に入り、「(リングに)上がってよ。上がってくれたっていいじゃん」と改めてリングに呼び込んだ。出場全選手がリングに揃ったところで、「WAVEの熱い闘い、面白かったです。若くてピチピチした闘いが、(これからも)変わらずに続いていきます。ぜひ完全燃焼して、これからも第2の人生を歩んでいきますので、これからもWAVEの応援よろしくお願いします」とHIRO'eになりかわって挨拶。そして最後は広田が音頭を取っての「これがWAVEだ!」の大合唱で、4カ月ぶりの大阪大会は幕を閉じた。